第2回:膝の痛む患者様のために 膝を痛めたらどうすれば良いのか
当院には、膝の痛みを抱えた患者様が多く来院します。膝を痛めた場合に我々がすべきことはなんでしょうか。
それは、安静にすること。
痛めた部位を無闇やたらに動かすことは、より症状を悪化させる原因となります。
間違っても、素人が揉んだりしてはいけません。(一時的に効果があると感じてマッサージに行かれる方もいますが、逆効果です。)
では、安静が必要な時期を過ぎた後にすることは何でしょう?
最初に始めるべき運動療法こそが、『歩行』なのです。
歩行というと、我々が生きるために必要な能力であることから、簡単にできると思いがちですが、故障をしている際の歩行方法に関しては充分な管理と注意が必要です。
ここで、皆様に1つ押さえておいてほしいポイントとして、「潤滑油」という概念です。
話すと長くなってしまいますが、簡単に説明すると
関節同士の接続部分には、「潤滑油」というものがあります。名前のごとく、関節同士が滑らかに動くよう、「油」の役割をする
というものです。
我々が何気ない日常で、関節を動かす時にはこの潤滑油が極めて大切になってきます。
最近注目されるようになった関節内の潤滑油である滑液についても、関節を使わないで固定させておくと、どんどん吸収されてなくなっていきます。しかし、歩行することで関節内に繰り返しの、圧力を与えると関節内に滑液がスポンジ効 果で浸出してきます。
つまり、持続的な圧力や強い衝撃圧では関節内滑液のスポンジ効果を得ることは不可能です。
このように膝の痛みのリハビリテーションは様々な意味で、最も有効で大切なのが『歩行』です。
歩行訓練をする上で階段やきつい坂道は、逆に 膝にとってストレスになってしまうため、膝が痛い時のリハビリ運動としては避けるべきです。
また、大きな荷物を持っての歩行や買い物で、デ パート・スーパーなど歩いたり止まったり、路上 での長時間の立ち話なども膝の治療中は避けて下さい。
「痛い」と感じなくても後で膝に大き な問題を起こす原因がたくさんある事を知っておいて下さい。
膝の「痛み」を感じたら、恐れずに安静にしてください。
その後、徐々に二足歩行を行うことが一番回復に早くつながります。
●参考文献
こちらは、構造医学研究財団の 吉田勧持 先生が書かれたものとなります。
興味があれば是非読んでみてください。今は絶版となってしまったので、図書館で借りるのも良いでしょう。